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遺言書の解釈

先月、突然人生初のギックリ背中となり、癖にならないように休日ウォーキングと内転筋のトレーニングに励んでいる、大阪吹田の司法書士・行政書士の伊藤貴胤です。

本日休日ながら、事務所に出勤し仕事してたので、久々の更新です。

現在、司法書士法施行規則第31条に基づく財産管理業務(31業務)を行っております。

31条業務のうち、自筆証書遺言に基づく遺産承継業務ですが、不動産・銀行・投資信託等の相続手続きを順次遂行してました。

しかしながら、先日、某証券会社より、思わぬ主張をくらい、改めて遺言書の解釈についておさらいしてます。

(自筆証書遺言の内容)

Aが死亡した場合が、A名義の動産、不動産はすべて、Bに譲渡いたします。
 譲渡するもの
 1 a不動産
 1 b不動産
 1 A名義の預貯金一切
   あ銀行
   い銀行
   う銀行
 1 Aの衣服・装身具一切
                   平成○年○月○日  A ㊞

というものです。

私は当然、この自筆証書遺言で某証券会社が管理する株式もBへ名義変更できると思い、
何らの疑問も感じず、Bへの名義変更の手続きを某証券会社へ行いました。

ところが、手続き依頼してなかなか連絡が来ないので、しびれを切らして証券会社の相続センターへ連絡してみると、

「譲渡するものの記載に、株式の記載がないので、株式はBへ名義変更することはできません。」

との返答。

「動産・不動産すべて譲渡するとあるから、できるはずですから再度しっかり確認してください。」

と念押ししたものの、

「法務部に再度確認しましたが、記載のない以上できません。」の一点張り。

そこで、遺言の解釈に関する最高裁昭和58年3月18日判決の内容を伝え、

再度、じっくり検討するように伝えました。現在、その返答待ちです。

そこで、普段積まれているのみの書籍ひっぱりだしてきて、おさらいです。

「遺言の解釈の最高裁の立場」

「遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求すべきであり、遺言書が多数からなる場合にそのうちの特定の条項を解釈するにあたっても、単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出しその文言を形式的に解釈するだけではなく、遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して遺言者の真意を探求し当該条項趣旨を確定すべきものであると解釈するのが相当である。(最高裁昭和58年3月18日判決)」とされています。

さらに、 最高裁平成5年1月19日第三小法廷判決において、遺言解釈の一般原則として「遺言の解釈にあたっては、遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが、可能な限りこれを有効になるように解釈することが右意思に沿うゆえんであり、そのためには、遺言書の文言を前提にしながらも、遺言者が遺言作成に至った経緯及びその置かれた状況等を考慮することも許されるものと言うべきである。」と判示されているのです。

これに照らしても、譲渡するもの記載に株式がないとの理由のみで、上記の遺言書で手続きできないとする証券会社の対応は不当であると言わざるをいえません。

証券会社が次にどう返答してくるかはわかりませんが、それまでに更に遺言の解釈についておさらいしておきます。

本日、終了!!

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