成年後見
成年後見制度とは
最近よく耳にするようになった「成年後見」という言葉。「後見」というのは文字どおり「後ろから見守る」ということ。
つまり、裁判所から選ばれた、あるいは、自分がお願いした保護者の方が、必要な見守りを続けながら、ご本人の身の回りのお手伝いをしたり、ご本人の財産や権利を守るしくみが成年後見制度です。
私たちは契約を前提とする社会に生きています。
スーパーやコンビニで買い物したりするのも、契約書を作成したり、印鑑を押したりしませんが、契約です。
契約をするには、自分の行為の結果がどのようになるか判断できる能力が必要となります。判断能力が不十分な場合、そのことによって不利益を被ってしますおそれがあります。
そうならないように支援するための制度が成年後見制度です。
制度を支える理念
「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。
- 1.ノーマライゼーション
- 高齢者や障害者であっても特別扱いしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方
- 2.自己決定の尊重
- 本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方
- 3.身上配慮義務
- 本人の状況を把握し配慮する義務
- 不動産を売って老後の生活資金にしたいのですが、夫の判断能力が衰えてしまって、売買契約が結べません・・・。
- 父の相続が開始して遺産分割の協議をしたいのですが、兄に知的障害があり、遺産分割の協議をすることができません・・・。
- 一人暮らしの母が、最近判断能力が衰えてきたためか、訪問販売で必要もない高額な商品を何度も買わされてしまって・・・。
- 老人ホームの職員ですが、最近身寄りのない入所者の方の判断能力が衰えてきて、施設の契約や財産の管理がうまくできるか心配しています・・・。
- 妹は知的障害があり、施設で生活しているが、何十年も自分が面倒をみてきたが、最近自分も年をとり、面倒をみることができなくなった・・・。
- 身寄りがなく、一人暮らしをしています。今のところは体は元気で生活に不自由はありません。でも、近い将来、自分の財産や身のまわりのことがどうなるか、とても不安です・・・。
- 知的障害を持つ子供の母親です。私自身が高齢なので、私が亡くなった後の子供の生活がとても心配です・・・。
成年後見制度の利用
成年後見制度には、すでに判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をしたり、被害にあった契約を取り消したりする法定後見制度(家庭裁判所による審判)と、今は元気だが、将来、判断能力が不十分になった時に備えておく任意後見制度(公証役場で契約)があります。
法定後見制度は、判断能力が現在すでに不十分な状態にある人が利用する制度で、判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれます。
任意後見制度は、将来、自分の判断能力が衰えたときに備えて、あらかじめ保護者(任意後見人)を選び、将来の財産や身のまわりのことについて、具体的な自分の希望を保護者(任意後見人)に頼んでおくことができます(任意後見契約)。
成年後見制度を利用する例
「法定後見制度」を利用が最適なケース
「任意後見制度」を利用が最適なケース
費用
費用内訳 | 必要金額 |
---|---|
収入印紙 | 800円分 |
登記印紙 | 4,000円 |
郵便切手 | 3,700円分 |
医師鑑定料 | 50,000円から100,000円 (鑑定する医師により異なります。但し、鑑定が不要となる場合もあります。) |
その他必要書類取得代行 | 1通につき1,000円 |
司法書士報酬 | 105,000円(税込) |
合計 | 116,500円から214,500円 (必要書類取得代行3通の場合) |
※司法書士報酬は、事案の内容により、30%の範囲内で増減する可能性があります。