本日は朝6時半に起床した上、年末のバタバタで少しだけいらっとしてしまったことを反省している、大阪吹田の司法書士・行政書士の伊藤貴胤です。
今年もあとわずかになってしまいました。
毎年、毎年、すっきり終えたいと思いながら、必ず中途半端になってます。
今回はひとつ片付いた相続放棄と再転相続のお話です。
祖父Aが死亡し、Aの子である相続人Bが、相続放棄の熟慮期間中に死亡してしまった場合に、Bの子Cが相続人になる場合があります。
このとき、CはBの相続に関して相続し、Aの相続に関しては相続放棄することはできるのでしょうか。
あるいはCはBの相続に関して相続放棄し、Aの相続に関しては相続することはできるのでしょうか。
これは「再転相続人の相続放棄」の問題ですが、このような問題についてのご質問を受けることがあります。
そもそも再転相続とは、被相続人(A)が死亡した後、その相続人(B)がその熟慮期間内に放棄も承認もしないまま死亡してしまったため、その相続人の相続人(再転相続人C)が、自分自身の相続権と、相続人(B)の承認又は放棄をする権利を引き継ぐことをいいます。
具体例でいうと、祖父が死亡し、父が祖父の相続の手続きをしている最中(つまり熟慮期間中)に、その父も亡くなってしまったというものです。
再転相続人は、どちらの相続権も自らに都合よく自由に処分できるかというと、そうではありません。
再転相続した権利は、本来は相続人(B)の権利であったものなので、もし再転相続人(C)が、相続人(B)の相続を放棄したなら、再転相続人(C)は初めから相続人の相続人ではなく、再転相続することになる権利も受け継ぐことはないのです。
再転相続人による、相続権の処分方法の組み合わせとして、以下4つのパターンがあります。
1、自分自身の相続権を承認、再転相続権を承認
→ 父の相続も祖父の相続も受け入れる
2、自分自身の相続権を放棄、再転相続権を承認<不可>
→ 父の相続は放棄し、祖父の相続を受け入れる
3、自分自身の相続権を承認、再転相続権を放棄
→ 父の相続を受け入れ、祖父の相続放棄をする
4、自分自身の相続権を放棄、再転相続権を放棄
→ 父の相続を放棄し、祖父の相続も放棄する
2番のケースは、自分自身の相続権を放棄した時点で、再転相続をする権利はなくなるので、このケースを選択することはできません。
4番のケースでは、自分自身の相続を放棄する手続きをすれば、被相続人の相続も放棄したこととなるため、再転相続権について特別な意思表示はする必要はありません。
1番と3番ケースでは、それぞれの相続権について意思表示をする必要があります。
再転相続についての熟慮期間は以下の条文に記載されています。
(民法第916条)
相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
条文中の前条第一項の期間とは、相続人が自己のために相続があったことを知った時から3か月という熟慮期間のことをいいます。
以上のことから、相続人の相続人が再転相続権を有すると知ったときとは、相続人についての相続が自己のために相続があったことを知った時と同じとされます。
よって、どちらの相続権の熟慮期間も、その時が起算点となります。
少し複雑な再転相続のお話でした。
本日はとても疲れましたので、これにて終了。