大阪の緊急事態宣言が解除され徐々に平穏な日常に戻ることを切に願う大阪吹の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。
今後も大変な状況は続くとは思いますが、少しでもできることから始めたいと思います。
(事件忘備録)
相続放棄をする人が認知症で判断能力がないような場合に相続放棄出来るのでしょうか?
認知症である場合には相続放棄を自ら行うことは出来ません。
相続放棄の手続を家庭裁判所に行うためには、「相続放棄をする」という判断能力が必要となります。
残念ながら認知症の方には、そのような判断能力が無い方が大半ですので、相続放棄ができないことなってしまいます。
そのため後見人の選任を家庭裁判所に申立てて、後見人が代わって相続放棄の手続きを行っていくことになります。
(後見人の場合の熟慮期間)
相続放棄出来る期間は「被相続人(死亡した人)の死亡を知り、自分が相続人となったことを知った時から3か月以内」です。
でも、成年後見人選任までに3か月経過してしまうのでは?
成年後見人の選任申立てを家庭裁判所にした場合、成年後見人が選任されまで1か月から2か月程度かかります。
その為、相続放棄の申立期間である3か月が経過してしまうことも考えれます。
この点に関し、判例等は見当たりませんが、民法917条の趣旨に沿って、
成年後見人選任後3か月以内であれば、相続放棄の手続を認めれることが多いかと思われます。
(その他注意点)
①相続放棄の手続だけの為に成年後見制度は利用できない事です。
その為、相続放棄手続が終了したとしても、被後見人の方が死亡するまで、成年後見人制度は続くこととなります。
②成年後見人に相続人の方が選任された場合、相続放棄の手続が利益相反となり、相続放棄の手続を代理できないこととなります。
ただし、成年後見人も相続放棄している場合は、利益相反とは認められず、相続放棄の手続の代理をするこが可能となります。(最判昭53・2・24民集32・1・98)
(全く関係ない余談)
昨日、とある司法書士の同期から久々に連絡が来ました。
今年大阪で開業したとのことです。おまけに今後は社労士も登録する予定だとか。
なんだか私と似た感じです。
連絡があってちょっぴり嬉しくなりました。
些細なとりとめない話が今の時期はなんだか安心したりします。