長きにわたる韓国籍の相続登記が完了し、少し肩の荷が下りた大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。
在日韓国人の方の多くは、現在の韓国に本籍を持っています。
そのため、婚姻・出産・死亡等、戸籍の記載事項に変更があった場合には、本来、韓国領事館に届け出る必要があります。
しかし、多くの在日韓国人の方は、日本の役所だけに届出を行い、韓国領事館への届出を行っていないケースが多々見受けられます。
例えば、死亡時に韓国領事館に死亡申告の届出を行わないと、韓国戸籍には記載されません。
韓国の戸籍がないと、相続手続きを行うことも、パスポートを取得することもできません。
このように、実情と韓国の戸籍の間に長年にわたる齟齬が生じ、様々な問題が発生してしまいます。
戸籍の記載事項の変更を韓国領事館に届けていない場合、その方がお亡くなりになると、次のような問題が起きてしまいます。
•被相続人(亡くなった方)が韓国の戸籍上では生きていることになっている。
•相続人である夫(妻)や子が、韓国の戸籍上に記載されていない。
•離婚した夫(妻)と韓国の戸籍上では婚姻した状態になっている。
•韓国の戸籍の記載事項が間違っている。
このような場合には、まず、「戸籍整理」をして韓国の戸籍を実情に合わせてから、相続登記をする必要があります。
在日韓国人である被相続人の韓国戸籍について、この「戸籍整理」が必要となると、事実に則した戸籍謄本等を収集するだけでも、3か月以上、時には半年以上の時間が必要になります。
韓国の戸籍を取得するため(戸籍に記載されるため)に行う「戸籍整理」には、専門的な知識と日本から発行される各種証明書の翻訳文が必要です。
また、相続手続きを行う場合に、戸籍がないと(戸籍に記載がないと)、戸籍に代わる多くの証明資料が必要となり、事前に戸籍整理を行うよりも、かえって多くの時間と手間が掛かってしまいます。
早めに、韓国戸籍の収集や韓国戸籍の翻訳に対応できる事務所に相談することを推奨します。
私のケースも、被相続人、その妻、その長男が死亡しているにもかかわらず死亡申告が韓国領事館になされていませんでした。
死亡申告と韓国戸籍の翻訳を別の専門家に依頼し、無事に相続登記を完了することができました。
やはり餅は餅屋で、専門家に頼むのが一番安心です。