司法書士会の事務局にときおり愛想のない人がいて、無意味に頭に来る(こんなん書くとまた説教される・・・)大阪吹田の司法書士・行政書士の伊藤貴胤です。
前回、民法改正や会社法改正で変化が目まぐるしいと書きましたが、
今回もめまぐるしい変化を一つ紹介。
私も同業の某Sさんに聞くまでは全く知らず・・・(研鑽不足・・・)
しかしながら、その後はfacebookでもたくさんの同業者がアップするようになりました。
それは、この判例。
↓
どんな事例かというと、
亡Aさんの名義の不動産があるところ、亡Aさんの遺産分割が未了のまま、亡Aさんの妻である亡Bさんも亡くなりました。
亡Aさんと亡Bさんの相続人は子のCさん1のみです。
そこで、Cさんは亡Aさんの遺産につき、Cさんが全部取得した旨の遺産処分決定書を添付して、直接亡AさんからCさんへ相続を原因として所有権移転登記をしました。という事例です。
ふむふむなるほど。
私も同じ事例で同じように登記したことあります。
しかしながら、この判決、「そんなんはあかん!!!」
というわけです。
理由をかいつまんで言うと、
亡Bさんが死亡した時点で、Cさんは亡Bさんの遺産を取得しており、Cさんが、既に自己に帰属している亡Bさんの遺産(すなわち亡Aさんの遺産に対する相続分)を、改めて自己に帰属させる旨の意思表示である遺産分割決定ないし遺産分割協議を観念する余地はない。つまり、Cさんが1人で行った遺産分割決定に法的な意味はない。
ということらしいです。
とすると、登記は一旦亡BさんとCさんの共同名義の登記を入れて、さらに亡Bさんの持分をCさんへ移転するとい2つの登記が必要になります。
今までは登記は1件で済んでいたところ、2件の登記が必要となるのです。
登記手続き的には複雑性は増えませんが、登記が2件必要となるということは、登録免許税も2件分、司法書士報酬も2件分になるということです。
実務に影響は大ですが、費用にも影響が大です。
ですので、登記申請する人は単純に費用が増えるということです。
前回と同様になりますが、これって、体の良い増税やないの???
と、思ってしまいます。
この判決がどこまで実務に影響するのかはわかりませんが、法務局もこれに合わせて動くらしいとの情報もあるので、今後は要注意です。
今までできたことが、ある日突然できなくなるって、ほんまにこわい。。。