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書面決議・みなし決議

徐々に人出が増えつつあるのを眺めながら、平穏な日々を願う大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

株主総会開催の時期ですが、コロナの影響で株主総会を開けないところも多々あると思います。

そこで株主総会や取締役会を開催しない手続きの復習です。

<みなし株主総会(書面決議・みなし決議)-会社法第319条1項>

株主(議決権を有する株主に限ります)の全員が、株主総会で決議する事項について賛成・同意しているケースにおいても、わざわざ時間を合わせて一同に会し、実際に株主総会を開催しなければならないとなると会社にとっても株主にとっても負担がとても大きくなってしまいます。

そこで、

会社法第319条第1項によると、全ての議決権のある株主が、株主総会で決議する事項について賛成・同意する旨の意思表示を書面または電磁的記録による意思表示をした場合には、株主総会の開催および決議を省略できるとされています。

この方法による株主総会決議を、みなし株主総会決議あるいは株主総会のみなし決議といったりします。

書面または電磁的記録による意思表示が必要ですので、口頭での同意ではだめで、電子メールでの同意は可能ということになります。

(株主総会の決議の省略)

「会社法第319条第1項」

取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。

(株主総会の目的である事項の提案者)

株主総会の目的である事項(取締役の選任など)を、みなし株主総会決議により行う場合、当該事項を提案できる者は取締役または株主とされています。

(みなし株主総会決議の成立日)

みなし株主総会決議は、議決権のある株主全員の同意の意思表示が会社に到達した日に成立します。

5月30日に決議があったとみなしたい場合でも、5月30日までに同意書を会社まで返送してくださいと4月末頃に株主に提案書・同意書を送付すると、5月25日までに全員の同意書が揃ってしまう場合もあるかもしれません。

5月25日に全員の同意書が揃ったのであれば、株主総会の決議があったものとみなされた日は5月25日となります。

決議日を調整する場合、「なお、5月30日に決議の効力が発生します。」などのように決議に期限を設ける方法や、会社の役員等が株主の1人なのであれば、当該役員が同意書を5月30日に提出しタイミングを調整するような方法が考えられます。

(みなし株主総会議事録)

みなし株主総会決議が成立したときも、実際に株主総会を開催したときと同様に株主総会議事録を作成し保存しておかなければなりません。

みなし株主総会決議にかかる株主総会議事録の記載事項は次のとおりです。

1.株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
2.提案をした者の氏名
3.株主総会の決議があったものとみなされた日
4.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

(登記申請の添付書類として提出)

取締役の就任の登記のように、株主総会議事録をその登記申請の添付書類として提出する必要があるケースでは、みなし株主総会議事録も取締役の選任を証する書面として提出することができます。

提案書と同意書は提出する必要がありません。

なお、みなし株主総会議事録を添付書類として提出するときも、株主リストの添付は必要です。

(定時総会でも利用可能)

みなし株主総会決議は、臨時株主総会だけではなく定時株主総会においても利用することができます。

定時株主総会において報告事項がある場合は、会社法第319条第1項ではなく会社法第320条により、株主全員に当該報告があったとみなすことができます(株主総会への報告の省略)。

当該報告があったとみなされた事項も株主総会議事録に記載する必要があります。

・株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
・株主総会への報告があったものとみなされた日
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

(株主総会への報告の省略)

「会社法第320条」

取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
                                                                                                                                                                                                       
                                                                        

※なお、中小企業等協同組合法には会社法319条(株主総会の決議と省略)と同様の規定がありません。書面決議のみで開催を省略する、いわゆる「みなし総会」は認められませんのでご留意ください。

○ 書面決議書のみで総会の開催を代替することは不可であるため、会議体自体は設ける必要があります。しかしながら、書面、電磁的方法又は代理人をもって議決権を行使できる旨を定款で定めている組合においては、これらを活用して開催することにより、当日会場に参集する本人出席者数を少なくすることが可能になります。

○ 理事会については、定款の「理事会の決議」の条文内に「理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす。」の規定がある組合の場合、書面又は電磁的な方法で理事会の決議があったものとみなすことができます

(今回の復習はこれが主な目的だったりします。)

                                                                                                                                                                                                        

<みなし取締役会(みなし決議・書面決議)-会社法第370条>

(取締役会決議があったものとみなすことができる)

取締役(当該決議事項について議決に加わることができる取締役に限ります)の全員が、取締役会で決議する事項について賛成・同意しているケースにおいても、わざわざ時間を合わせて一同に会し、実際に取締役会を開催しなければならないとなると各取締役にとっては負担が大きくなってしまいます。

そこで、

会社法第370条によると、全ての議決に加わることのできる取締役が、取締役会で決議する事項について賛成・同意する旨の意思表示を書面または電磁的記録による意思表示をした場合で、かつ監査役が異議を述べなかった場合は、取締役会の開催、決議及び報告(報告については会社法第372条)を省略できるとされています。

この方法による取締役会決議を、みなし取締役会決議あるいは取締役会のみなし決議といったりします。

(取締役会の決議の省略)

「会社法第370条」

取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

(取締役全員の同意)

書面または電磁的記録による意思表示が必要ですので、口頭での同意ではだめで、電子メールでの同意は可能いうことになります。

電子メールの場合、メールの本文に提案内容を記載して送信し、メールの本文に同意する旨を記載して返信をしてもらう方法や、提案内用を記載した用紙のPDFを送信し、当該用紙のPDFに署名押印したもののPDFを返信してもらう方法などがあります。

テレビ会議や電話会議は、実際に開催する取締役会に該当しますので、会社法第370条のみなし取締役会決議とは別のものとなります。

(同意が必要な取締役)

みなし取締役会決議の成立には取締役全員の同意が必要とされており、これは決議の目的である事項について提案をした取締役についても同様です。ですので、提案者たる取締役の同意書も忘れずにもらっておかなくてはなりません。

当該決議の目的である事項について利害関係のある取締役は、当該事項について議決に加わることができませんのでその同意書は必要ありません。

(定款の定めが必要)

会社法第319条第1項のみなし株主総会決議と異なり、会社法第370条のみなし取締役会決議を行う場合は、当該会社の定款にその旨の記載が必要です。

(登記申請時、みなし取締役会議事録を添付するときは定款の添付も必要)

取締役会の本店移転(取締役会で本店を決定したとき)や自己株式の消却、代表取締役を選定にかかる登記申請をするときは、取締役会議事録を添付しなければなりませんが、この取締役会議事録はもちろんみなし取締役会議事録でも問題ありません。

但し、みなし取締役会決議を行うにはその旨の定款の記載が必要とされていることから、定款も併せて添付することになります。

(みなし取締役会決議に関する定款記載例)

第○条 当会社は、取締役が提案した決議事項について取締役(当該事項につき議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意したときは、当該事項を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。但し、監査役が異議を述べたときはこの限りでない。

※業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役しかいない会社では、但書以降の記載は不要です。

(監査役の同意は不要だが異議を述べられたらみなし決議不成立)

監査役の同意は必要とされていませんが、監査役が異議を述べた場合は会社法第370条によるみなし取締役会決議は不成立となってしまいます。

監査役の異議を述べるタイミングは、例えば「取締役全員が同意する前に」「提案があってから1週間以内に」などの期限が定められているわけではありません。取締役全員が同意をしてみなし取締役会決議が成立したと安心した後に、監査役から異議述べられてしまう可能性もあるかもしれません。

そのため、実務上は異議がないことを証する書面へ監査役に署名(や押印)をいただくことが多いです。

なお、業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は、そもそも取締役会に参加義務がありませんので、異議を述べることができません。

(取締役会への報告事項の省略)

会社法第372条1項によると、取締役及び監査役の全員に対して、取締役会に報告すべき事項を通知したときは、実際に取締役会を開催して報告することは不要となります。

なお、業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役に対しては当該通知をする必要はありません。

(3ヶ月に1回以上の業務執行状況の報告は省略できない)

代表取締役または代表取締役以外の取締役で当該会社の業務執行をする取締役として、取締役会決議によって選定されたものは、3ヶ月に1回以上、自身の職務の執行状況を取締役会に報告をしなければなりません(会社法第363条)。

この代表取締役の職務の執行状況の報告については、取締役会の開催を省略して報告をしたものとみなすことはできません(会社法第372条2項)。

(取締役会への報告の省略)

「会社法第372条」

1. 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。

2. 前項の規定は、第363条第2項の規定による報告については、適用しない。

3項省略

(みなし取締役会議事録)

取締役会議事録は、書面または電磁的記録をもって作成しなければならないとされています。これは会社法第370条によるみなし取締役会決議についても当てはまります。

みなし取締役会議事録(決議)の記載事項

 1.取締役会決議があったものとみなされた事項の内容
 2.上記事項の提案をした取締役の氏名
 3.取締役会の決議があったものとみなされた日
 4.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

取締役会への報告を省略した場合の記載事項

 1.取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
 2.取締役会への報告を要しないものとされた日
 3.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

(みなし取締役会議事録への押印)

実際に取締役を開催した場合の取締役会議事録には、それが書面で作成されている場合は出席取締役・出席監査役が署名または記名押印をしなければなりません(会社法第369条3項)。

業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は取締役会への出席義務はありませんが、出席したときは当該監査役にも署名または記名押印義務が発生します。

さて、みなし取締役会議事録の場合は、取締役・監査役の署名または記名押印は、法律上は必要ないとされています。取締役会の実際の開催が省略されているため、取締役会への出席者がおらず、署名または記名押印の義務を負う者がいないためです。

もちろん、みなし取締役会議事録に取締役全員が署名または記名押印をしてもいいですし、代表取締役のみが会社実印を押印するケースもあります。

(代表取締役選定のみなし取締役会議事録への押印)

取締役会議事録を添付して代表取締役の変更登記をするときは、取締役会議事録に前代表取締役が会社実印での押印がない限り、みなし取締役会決議事項に同意した取締役全員が取締役会議事録に実印で押印し、かつ取締役全員の印鑑証明書を添付しなければなりません(商業登記規則第61条4項)。

みなし取締役会議事録への取締役全員の実印押印に代えて、取締役の同意書に実印押印をしたものでも登記手続き上は問題はありません。

なお、この場合監査役の実印押印及び印鑑証明書は不要とされています。

相続放棄と成年後見人

大阪の緊急事態宣言が解除され徐々に平穏な日常に戻ることを切に願う大阪吹の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

今後も大変な状況は続くとは思いますが、少しでもできることから始めたいと思います。

(事件忘備録)

相続放棄をする人が認知症で判断能力がないような場合に相続放棄出来るのでしょうか?

認知症である場合には相続放棄を自ら行うことは出来ません。

相続放棄の手続を家庭裁判所に行うためには、「相続放棄をする」という判断能力が必要となります。

残念ながら認知症の方には、そのような判断能力が無い方が大半ですので、相続放棄ができないことなってしまいます。

そのため後見人の選任を家庭裁判所に申立てて、後見人が代わって相続放棄の手続きを行っていくことになります。

(後見人の場合の熟慮期間)

相続放棄出来る期間は「被相続人(死亡した人)の死亡を知り、自分が相続人となったことを知った時から3か月以内」です。

でも、成年後見人選任までに3か月経過してしまうのでは?

成年後見人の選任申立てを家庭裁判所にした場合、成年後見人が選任されまで1か月から2か月程度かかります。

その為、相続放棄の申立期間である3か月が経過してしまうことも考えれます。

この点に関し、判例等は見当たりませんが、民法917条の趣旨に沿って、

成年後見人選任後3か月以内であれば、相続放棄の手続を認めれることが多いかと思われます。

(その他注意点)

①相続放棄の手続だけの為に成年後見制度は利用できない事です。

その為、相続放棄手続が終了したとしても、被後見人の方が死亡するまで、成年後見人制度は続くこととなります。

②成年後見人に相続人の方が選任された場合、相続放棄の手続が利益相反となり、相続放棄の手続を代理できないこととなります。

ただし、成年後見人も相続放棄している場合は、利益相反とは認められず、相続放棄の手続の代理をするこが可能となります。(最判昭53・2・24民集32・1・98)

(全く関係ない余談)

昨日、とある司法書士の同期から久々に連絡が来ました。

今年大阪で開業したとのことです。おまけに今後は社労士も登録する予定だとか。

なんだか私と似た感じです。

連絡があってちょっぴり嬉しくなりました。

些細なとりとめない話が今の時期はなんだか安心したりします。

成年後年人と特別定額給付金

新型コロナウィルス感染拡大に一区切りが見え始め、少しほっとしている大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、10万円の特別定額給付金が支給されることになりました。

給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)時点で、住民基本台帳に記録されている者

受給権者は、給付対象者の属する世帯の世帯主

です。

成年後見人は被後見人等の申請手続きを行うことになりますが、

成年後見人が行う場合の大まかな手続きは、『特別定額給付金事業における成年後見人等による 申請・受給の代理に関するQ&Aについて』総務省自治行政局地域政策課特別定額給付金室(事務連絡令和2年5月2日)があります。

このうち、

Q&Aの問3

「本人が成年被後見人等である場合に、市町村の判断により、申請書の送付先を成年後見人等にすることは可能か。」

〇可能である。

〇現状、各自治体において、成年被後見人等に関する各種通知文書を成年後見人等に送付する取扱いを行っている場合がある。そのような場合は、関係部局で連携の上、特別定額給付金の申請書についても、同様に成年後見人等に送付することを積極的に検討頂きたい。

とありますが、

自治体により取扱いが違うので注意して確認しなければなりません。

できる自治体があったりなかったり。

統一してくれた方がありがたいのですが仕方ありません。

特別定額給付金の支給申請の受付開始時期も、自治体によって異なります。

登記事項証明書の有効期限の取り扱いも異なります。

期限を問わない自治体もありますが、3か月以内のものが必要な自治体もあります。

個人的には一律して期限を問わない扱いにして欲しいなと思います。

取得費用もばかになりません。

その他、

令和2年5月18日発行の成年後見制度利用促進ニュースレター第23 号の「成年後見制度の利用者に関する特別定額給付金の申請等について」も参考となります。

全ての被後見人さんに特別定額給付金が届くよう早めに手続きを取りたいと思います。

相続登記(韓国相続と戸籍整理)

長きにわたる韓国籍の相続登記が完了し、少し肩の荷が下りた大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

在日韓国人の方の多くは、現在の韓国に本籍を持っています。

そのため、婚姻・出産・死亡等、戸籍の記載事項に変更があった場合には、本来、韓国領事館に届け出る必要があります。

しかし、多くの在日韓国人の方は、日本の役所だけに届出を行い、韓国領事館への届出を行っていないケースが多々見受けられます。

例えば、死亡時に韓国領事館に死亡申告の届出を行わないと、韓国戸籍には記載されません。

韓国の戸籍がないと、相続手続きを行うことも、パスポートを取得することもできません。

このように、実情と韓国の戸籍の間に長年にわたる齟齬が生じ、様々な問題が発生してしまいます。

戸籍の記載事項の変更を韓国領事館に届けていない場合、その方がお亡くなりになると、次のような問題が起きてしまいます。

•被相続人(亡くなった方)が韓国の戸籍上では生きていることになっている。
•相続人である夫(妻)や子が、韓国の戸籍上に記載されていない。
•離婚した夫(妻)と韓国の戸籍上では婚姻した状態になっている。
•韓国の戸籍の記載事項が間違っている。

このような場合には、まず、「戸籍整理」をして韓国の戸籍を実情に合わせてから、相続登記をする必要があります。

在日韓国人である被相続人の韓国戸籍について、この「戸籍整理」が必要となると、事実に則した戸籍謄本等を収集するだけでも、3か月以上、時には半年以上の時間が必要になります。

韓国の戸籍を取得するため(戸籍に記載されるため)に行う「戸籍整理」には、専門的な知識と日本から発行される各種証明書の翻訳文が必要です。

また、相続手続きを行う場合に、戸籍がないと(戸籍に記載がないと)、戸籍に代わる多くの証明資料が必要となり、事前に戸籍整理を行うよりも、かえって多くの時間と手間が掛かってしまいます。

早めに、韓国戸籍の収集や韓国戸籍の翻訳に対応できる事務所に相談することを推奨します。

私のケースも、被相続人、その妻、その長男が死亡しているにもかかわらず死亡申告が韓国領事館になされていませんでした。

死亡申告と韓国戸籍の翻訳を別の専門家に依頼し、無事に相続登記を完了することができました。

やはり餅は餅屋で、専門家に頼むのが一番安心です。

相続登記(韓国の相続人の範囲)

3連休に食べ過ぎてしまい少し太り気味の大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

韓国の相続人の範囲は日本と少し異なるので若干注意が必要です。

(韓国の法定相続人の範囲)

① 第1順位:被相続人の直系卑属+配偶者    
② 第2順位:被相続人の直系尊属+配偶者   
③ 第3順位:被相続人の兄弟姉妹       
④ 第4順位:被相続人の四親等以内の傍系血族

①第1順位の法定相続人:被相続人の直系卑属

直系卑属が数人いるときには、被相続人に最も近い親等の直系卑属が先順位になり、先順位者が数人いるときには共同相続となります。

たとえば、被相続人に子や孫がいる場合に、孫は相続人になりません。

子が複数人いる場合には共同して相続することになります。

日本民法が「被相続人の子」としているのと異なり、「直系卑属」とされています。

つまり、子が全員相続放棄したような場合には、孫が直系卑属として第一順位の相続人となります。

直系卑属であれば、実子・養子・認知された婚姻外の出生子・男女に関わらず、相続順位に差異はありません。

また胎児は既に出生したものとみなされています。

②第2順位の法定相続人:被相続人の直系尊属

直系尊属は、直系卑属がいない場合に相続人となります。

直系尊属が数人いるときは、被相続人からの親等が近い者が先順位となり、同順位の直系尊属が数人いるときには共同相続となります。

たとえば被相続人の父母と祖父母がともに生存していた場合には、父母が先順位となり共同相続人となります。

直系尊属であれば父系・母系・養家側・生家側を問わず、実父母と養父母がいるときは共に同順位で相続人となります。

また、性別による順位の差異もありません。

③第3順位の法定相続人:被相続人の兄弟姉妹

日本民法とは異なり、兄弟姉妹は、被相続人に直系卑属・直系尊属も、配偶者もいない場合にのみ相続人となります。

兄弟姉妹には、男女・既婚・未婚・自然血族・法定血族・父系・母系を問いません。

兄弟姉妹が数人の場合は、同順位で共同相続人となります。

なお、兄弟姉妹の直系卑属にも代襲相続が認められています。

④第4順位の法定相続人:4親等以内の亡系血族

被相続人に直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹、さらに配偶者もいない場合にだけ、4親等以内の傍系血族が相続人となります。

性別・既婚・未婚・父系・母系を問いません。

同順位の相続人が数人いるときは、被相続人からの親等が近い者が先順位となり、同親等の者が数人いるときは共同相続となります。

⑤配偶者は常に第1順位の相続人

直系卑属や直系尊属がいる場合には、それらの者と同順位で共同相続人となります。

そして、被相続人の直系卑属も直系尊属もいない場合には、配偶者が単独相続人となります。

日本民法と異なり、兄弟姉妹との共同相続とはなりません。

(韓国民法と日本民法との主な相違点)

〇 配偶者と兄弟姉妹・4親等以内の傍系血族(叔父・叔母・従兄妹)が共同相続人となることはありません。
  つまり、配偶者がいる場合には兄弟姉妹には相続権はありません。

〇子が相続人の場合

 ・子が被相続人より先に死亡している場合(代襲相続が発生しているとき)は、
  その子の配偶者も代襲相続人になります
  日本の場合は孫のみに代襲相続されます。

 ・すべての子が相続放棄したときには、その相続順位は「孫」に移ります。
  日本の場合は被相続人の「親」に相続順位が移ります。
   •子及び子の配偶者のすべてが死亡している場合孫は代襲相続人の立場ではなく、
    第一順位直系卑属である相続人になりますので相続分の計算に注意が必要です。
   •代襲相続が発生する(被代襲相続人となる場合)は「直系卑属」「兄弟姉妹」のみにな
    ります。
   •配偶者の相続分は直系卑属(又は直系尊属)の相続分の5割加算となります。

以上のように、日本と少し異なりますので、お困りの際は専門家に相談することをお勧めします。

相続登記(韓国籍)

本日は残業のため、休憩を兼ねて投稿している大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

亡くなった方に預貯金や不動産などの財産がある場合、これらの財産の相続分は、遺言がなければ法によって定められた法定相続分に従って決定されます。

亡くなった方が帰化していた場合は日本国民法が適用され、韓国国籍のままであった場合には韓国民法が適用され、それぞれの民法に規定されている法定相続分の割合に応じて相続がされることになります。

(ただし亡くなった方が韓国国籍であったとしても、遺言のなかで準拠法が日本国民法に指定されていた場合は、日本国民法の適用を受けることになります。)

相続手続きに必要になる具体的な書類については、亡くなった方が帰化していた場合、相続関係を証明するためには、日本の戸籍謄本を集める必要があります。

この場合、基本的に必要な手続きは日本での一般的なものと変わりが無いので、ここでの詳しい説明は省略します。

しかし、韓国籍の方が亡くなった場合には、日本に戸籍はありませんから、韓国の除籍謄本と韓国の家族関係証明書を取得する必要があります。

以前は韓国にも戸籍法があり戸籍制度がありましたが、2008年に「家族関係登録等に関する法律」が施行され、戸籍制度は廃止されました。

これまでの戸籍謄本はすべて「除籍謄本」となりましたが、相続関係を証明するためにこれを取得する必要があります。

また、家族関係の登録事項別証明書について、家族関係の登録事項別証明書は、基本証明書、婚姻関係証明書、家族関係証明書、養子縁組関係証明書、親養子縁組関係証明書の5種類あります。

除籍謄本も、家族関係の登録事項証明書も、最寄りの領事館にて取り寄せることができます。

簡単に必要な書類をまとめると以下のとおりです。

(韓国国籍の方の相続登記に必要な書類)

・被相続人の除籍謄本
 (出生時からのすべての期間のもの)

・被相続人の基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明遺書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書

・被相続人の住民票の除票
  (登記簿上の住所からのつながりがつかない時は閉鎖外国人登録原票も必要)

・相続人が韓国籍の場合は、基本証明書と家族関係証明書

・相続人が日本国籍の場合は、日本の戸籍謄本
 (帰化している時は帰化の記載のある戸籍も必要)

・相続して不動産の名義人となる相続人の住民票

・相続不動産の評価額がわかる書類(評価証明書、固定資産税納税通知書、名寄帳など)

・遺産分割協議書

・相続して不動産の名義人となる相続人以外の全員の印鑑証明書
 (遺産分割協議をしない法定相続分とおりの相続の時は不要です。)

  ※外国の書類は翻訳文を付ける必要があります。
翻訳は必ずしも専門家による翻訳が必要ではなく、正確に翻訳できる方なら誰がしても構いません。

ここではその5種類の証明書について簡単に説明しておきます。

【基本証明書】
本人の出生と死亡に関する事項が記録されます。他にも国籍変更や改名、親権の表示がされます。

【家族関係証明書】
本人を基準として父母、子供、配偶者の記載がされます。親養子の場合、養父母は単に父母と記載され、普通養子の場合は、実父母と養父母の双方が記載されます。また、兄弟姉妹は記載されないため、兄弟姉妹を確認するには父母の家族関係証明書を取得する必要があります。

【婚姻関係証明書】
本人の婚姻、離婚に関する事項と配偶者の姓名訂正又は改名に関する事項が記載されます。

【入養関係証明書】
養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。家族関係証明書には養子を子女と表示して嫡出子と区別せずに記載されているが、入養関係証明書には養子として表示されます。

【親養子入養関係証明書】
親養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。家族関係証明書には養父母は単に父母と記載されますが、親養子入養関係証明書には親養子、実父母両方の記載がされます。親養子縁組とは日本の特別養子縁組に相当するものです。

このほか、韓国籍の方の相続は相続人の範囲や相続分の割合が日本とは異なる場合があるので注意が必要です。

ご不明な点は専門家に相談することをお勧めします。

相続放棄(子と兄弟姉妹の相続放棄)

コロナウィルスのおかげで確定申告の期限が伸びたものの未だ何も手をつけておらず、結局申告期限間近にあわてることとなること間違いなしの大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

(業務防備録)

被相続人に多額の債務があり、先順位の相続人の子の全員が相続放棄することが明らかな場合に、次順位である被相続人の兄弟姉妹も同時に相続放棄はできるのか?

何となく全員放棄するのが明らかだから、同時に相続放棄の申し立てしてもいいような感じがしないでもないですが。

しかしながら、このような場合でも、同時に相続放棄の申立てをすることはできません。

まずは、先順位の相続人の全てが相続放棄したことにより、次順位の相続人が相続人となります。

被相続人の子供、父母など先順位の相続人がいるときには、相続が開始してもその時点で兄弟姉妹は相続人にはなっていません。

そのため、相続の開始後すぐに相続放棄の手続きをすることはできないのです。

自分より先順位の相続人が全員相続放棄したときにはじめて、次順位の相続人が相続放棄の手続をすることができるようになります。

相続放棄ができるのは、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月間以内です。

次順位の相続人は現実に自分が相続人となったことを知った時から3ヶ月間は相続放棄の申立てをすることができます。

意外と期間は短いですが、あらかじめ相続放棄することが明らかな時は同時に相談しておくと、準備期間の手間はある程度省略できます。

お気軽にご相談ください。

十日戎

すっかり更新がおろそかになってしまった大阪吹田の司法書士・社労士・行政書士の伊藤貴胤です。

年末年始は某所の海辺の光で癒されました。

最近歳のせいか何事もスッキリしないことが多い感じですが、ある意味中年を満喫しています。

いい年齢に差し掛かり、今後の事務所に行く末も気にかかります。

とりあえず、今年も生き残れるように例年どおりの十日戎で福をもらいに行って来ました。

一般的にも、業界的にも、色々変動のある世の中ですが、何とか今年もこれで無事に生き残れることを願います。

令和元年

10連休明け、なかなかエンジンがかからない、大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。

令和元年。

5月1日で開業して丸10年が過ぎ、11年目の始まりです。

色々ありましたが、何とか生きてこれました。

5月1日付で社会保険労務士も登録となり、司法書士、社会保険労務士、行政書士として新たなスタートです。

ただ、徒に手を広げ過ぎないように、自分の核となる仕事のためにそれぞれの資格を上手に生かして業務に励みたいと思います。

次の10年も無事に過ごせる事を願うばかりです。

遺言・成年後見後見制度の法律講座・相談会

早くも2月です。確定申告の準備が全くできていない、大阪吹田の司法書士・行政書士の伊藤貴胤です。

今週の土曜日2/16に開催です。

成年後見センター・リーガルサポート・北摂ブロックが、

本年度第2弾、遺言・成年後見後見制度の法律講座・相談会を開催します。

クイズや寸劇を交え、わかりやく楽しみながらご覧頂ける内容となっております。

法律講座・相談会ともに、もちろん参加は無料です。

法律講座は予約不要で、どなたでもお聞き頂けます。

相談会は、現在10組の予約を頂いておりますが、まだまだ予約可能となっております。

予約枠は16組ですが、16組超えても対応致します。どしどし、ご予約下さい。

ご興味ある方は、是非お越し下さい。

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